『人生について ゲーテの言葉』

『修行時代』

詩というものは、傑作であるか、さもなければ全然存在してはならないものなのだ。それからまた、すぐれたものを作る素質のない者は芸術から遠ざかるべきだし、それへの誘惑も厳に警戒すべきだ。なるほど、どんな人間にも自分が見たものを模写しようとする漠然たる欲望がうごいていることはたしかだが、しかし、こういう欲望があるからといって、自分が企てることを成就する力量があるという証拠にはならない。

エッカーマン『対話』

それはそうと、しばしば自分の作品が自分にまったく覚えのないようなことがある。ついこのごろフランスのものを読み、読みながら、この人はなかなか気のきいたことをいう、自分も異論はいえまい、と考えた。そしてよくよく見ると、それは自分の書いたものの翻訳だった。