ガルシン『紅い花』

「有難う。」――彼は立ちどまって葉巻を取ると、神経質にその端を噛み切った。「これは思考の助けになる」と彼は言った、「これは世界だ、小宇宙だ。一方の端にはアルカリがあり、他の端には酸がある。……互いに対立する原理が中和している世界の平衡状態も、やはりこの様なものだ。……さようなら、ドクトル!」