サンテグジュペリ『星の王子さま』

友だちのことを忘れてしまうのは寂しい。誰にでも友だちがいるわけではない。もしもぼくが彼のことを忘れたら、ぼくもまた数字にしか興味のないただの大人になってしまうだろう。だからぼくは絵具や鉛筆をもう一度買った。

「花の言うことは聞いてはいけないんだよ。ただ眺めて、香りを楽しんでいればいいんだ」

「沙漠がきれいなのは」と王子さまは言った、「どこかに井戸を一つ隠しているからだよ」
沙漠が放つ光の秘密がいきなり明らかになったみたいで、ぼくはびっくりした。

「夜、星を見てほしい。ぼくの星はとっても小さいから、どこを探せばいいか指さしては教えられない。その方がいいんだ。ぼくの星はたくさんの星の中に混じっている。だから、きみはどの星のことも好きになる……ぜんぶの星が君の友だちになる。ぼくはきみに贈り物をあげたい……」
彼はまた笑った。
「ああ!王子さま、ねえ、ぼくはきみの笑う声が好きだ!」
「それが贈り物さ……水のときとおなじだよ……」
「どういうこと?」
「人にとっての星の意味は、人ごとに違うだろ?航海している人には星は案内だ。他の人にとっては小さな光るものでしかない。学者たちには星は研究の対象。あのビジネスマンの目にはお金に見える。でもそういう星はどれも声を出さない。きみだけが他の人たちのと違う星を持つ……」
「どういうこと?」
「夜の空を見て、あの星の一つにぼくが住んでいて、そこでぼくが笑っている、ときみは考えるだろう。だからぜんぶの星が笑っているように思える。きみにとって星は笑うものだ!」