モーパッサン『脂肪のかたまり』

娼婦がその場にいるせいで、たちまち三人の女は、仲良しと言っていいほど親密な間柄になった。恥知らずな女を前にしては、人妻としての権威にかけ、自分たちは結集しなければならないと思ったのだ。なぜなら合法的な愛は、自由奔放な愛を見下すのを常とするものだからである。

女たちは体を寄せ合い、声を低めた。みんなが議論に参加し、それぞれが自分の意見を述べた。だが、あくまでも礼儀は守られていた。とくに婦人たちは、卑猥きわまることを言うために、上品な言い回しや微妙でしゃれた表現を見つけるのに長けていた。言葉づかいには非常な注意が払われていたので、事情を知らない者には何がなんだかわからなかっただろう。しかし、上流社会の婦人が身にまとっている羞恥心の上皮などというものは、ごくごく薄いものでしかない。婦人たちは、このみだらな出来事でうきうきとし、心の底では、魚が水を得たように夢中になって面白がっていた。食いしん坊のコックにとっては、他人が食べる夜食の用意でも楽しいようなもので、婦人たちは、この色事をいじくりまわしては快感を覚えていたのである。